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令和6年業務始め式理事長年頭挨拶

法人

2024.01.09

令和6年1月5日
 年頭の挨拶        
 
 皆さん、改めまして、新年明けましておめでとうございます。
 令和6年の年頭にあたり、一言、業務始めの挨拶を申し上げます。
 今年はコロナも一定落ち着き、ご家族や久しぶりの親類・友人の方々とご一緒に、新年を迎えられたことと思いますが、一方で元旦には、能登地方で震度7の地震が発生し、大津波警報が発表されるなど広範囲に及ぶ自然災害が発生しました。又、2日には羽田空港で航空機事故が発生し、それぞれ心が痛むような出来事が起こってしまったところです。亡くなられた方へのお悔みと、まだまだ災害が続いている地域の皆様にお見舞い申し上げますとともに、被害の全容がまだわからない状況ではございますが、とにかくできるだけ早い復旧、復興を願うばかりです。
 さて、ご承知のとおり、この学校法人久留米工業大学は、昭和33年に創立され、今年で66年目となる年を迎えております。 
 私は、昨年6月に理事長に就任し、ようやく7か月を過ぎたところですが、これまでの65年間で築き上げられてきた伝統と実績の継承に向けて、果たすべき職責の重さに、改めて身の引き締まる思いでいっぱいでございます。
 そして、教職員の皆さんと一丸となり、様々な課題の解決に向けて、やるべきことを一歩ずつ進めることで、学校法人として更なる発展ができるよう精一杯努力し、この一年をできるだけ実りあるものにしなければならないと、決意を新たにしているところでございます。
 そこで、昨年の当法人の状況を簡単に振り返りますと、まず、経営面では、法人全体で令和4年度まで9年連続の黒字決算となり、また令和5年度においても学校ごとに違いはあるものの法人全体としては、今のところ 黒字決算を見込んでおります。
 次に、学校ごとにみてみますと、大学では、令和5年度入学者が324人で、これは8年連続で定員320人を上回ることができたところです。主な取り組みとしては、文部科学省の大学・高専機能強化事業のいわゆる支援1と、支援2の両方に採択されました。この両方での採択は全国の大学で7校、九州地区の大学では本校のみでございまして、問解決型学習(PBL)を軸にしたAI教育プログラムが高く評価されているものと認識しています。
 また、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)にも認定され、本学が開発責任者となり、東京大学など計5機関とともに、高齢者や障害者の外出支援サービスの開発という国家的プロジェクトのひとつに取り組むことになったのは評価に値する素晴らしいことだと思っています。
 さらに、令和6年度公立学校教員採用試験において、昨年度に引き続き、現役で二桁の学生が合格するなど着実な成果をあげていただいたところです。
  祐誠高校では、経営的には厳しい状況が続いておりますが、令和4年度に策定した「経営改善計画」に基づき、新入生の確保と収支の改善に向けた取り組みを着実に進めていただいております。
 業務面では、生徒の状況を一元管理する学務システムを構築し、効率化を図るとともに、教育面では、マルチメディア教室のPCやトータルステーションの更新など、教育環境の充実が図られているところです。
 また、生徒確保に向けては、令和6年度入学試験より、インターネット出願制度を導入し、手続きの簡略化を行うなど、積極的な取り組みが進められております。
 さらに、クラブ活動でも、弓道部女子がインターハイ団体3位になるなど、様々な活動を通して「祐誠」の名を広めていただいたところです。
  専門学校では、依然厳しい経営状況が続いておりますが、少人数制リクエスト型オープンキャンパスなど、学生確保のための様々な取り組みが積極的になされております。
 また、工学部においては、令和6年度入学生からの授業料の改定や令和6年度末での学生寮の廃止。教習部でも、令和6年度からの教習料金改定等が決定されるなど、収入増や支出削減につながる取り組みを行うとともに、更なる収支改善に向けた今後の運営等の在り方についても、法人本部と学校が一体となって、プロジェクトで議論を進めておられます。現場の意見も踏まえた、今後の議論の進展に期待しているところです。
 さらに、教育面では、13年連続での就職率100%や高い資格取得率を達成するなど、大きな成果をあげていただいたところです。
  自動車学校では、昨年4月から6月の入校生が前年同月比で半減するこれまでにない厳しい状況となりましたので、法人本部と学校で早急に、教習生確保対策を検討していただきました。そして、検討結果を踏まえ、WEB広報の本格実施や教習生アンケートを利用したGooglemap評価の向上など、実行可能なものから順次取り組みを開始していただいております。
 また、AT教習車15台の更新のほか高齢者講習やブラッシュアップ講習の充実、地域の交通安全活動への参画など多彩な取り組みにより、学校のPRと入校生の確保に努めていただいているところです。
 以上、たいへん大まかに昨年を振り返りましたが、各学校いずれも教職員一丸となって、英知を結集され、この困難な状況を乗り切る為に大変なご努力をいただいております。改めまして心から敬意を表しますとともに、感謝を申し上げる次第でございます。誠にありがとうございました。
  続きまして、今年一年の展望についてですが、その前に私の当法人での業務始め式は初めてでございますので、この場を借りて、私自身が常に念頭に置き、大事にしているキーワードとその考え方を申し上げたいと思います。
 それは花の名前を借りて、「あじさい」と私自身が使っているものでございます。時間の関係で簡単に申し上げますと、
「あ」は安全・安心・安定です。
 これは、すべての面で基本中の基本となるもので、学校法人では、学生や教職員の皆さんが安全で安心できる環境の中で学んだり、仕事をしたりすることができること、また、法人全体としては、安定した経営状態を維持できることが、何より肝要なことだと思っています。
「じ」は持続性あるいは持続可能性です。
 これは、最近、様々な分野で言われているもので、これから益々厳しくなる学校法人の経営でも、持続可能で健全なものになるよう常に心掛けておく必要があるものと考えています。
「さ」は最適性で、特に全体最適ということです。
 これは、私たち一人ひとりが行っている仕事は、全体の中の一部であるという認識が大切なことで、常に法人全体にとって最適なものになるかという視点を持つことが、重要だと思っています。
「い」は維新・イノベーションです。
 これは、時代の状況や取り巻く環境を常に念頭において、それらに的確に対応していくためには、意識面や行動面等あらゆる面での革新、改革に果敢に挑戦する姿勢を持つことが、必要不可欠だと考えています。
 この「あじさい」というキーワードは、私自身が色々考える時や判断する時に立ち返るべき原点として、常に念頭に置いているものでございます。皆様もそれぞれ大事にしている言葉や考え方があるとは思いますが、新年にあたり、今一度、自分自身の考え方の原点となるものを再確認していただくことも大事ではないかという思いから、あえてふれさせていただいた次第でございます。
  さて、話を元に戻し、今年一年の展望ですが、まず、ご承知のとおり、私立学校法が昨年4月に改正され、令和7年4月1日から施行されます。法改正の趣旨は、私立学校が、社会の信頼を得て、一層発展していくため、実効性のあるガバナンス改革を行うというもので、学校法人の管理運営制度に関する大幅な改正が盛り込まれています。令和6年は、本法人での具体的な運用の基準を定め、寄附行為等の規則に反映させる必要があります。皆様のご意見を伺いながら、法改正への対応を的確に進めてまいります。 
 次に、経営の根幹である学生・生徒の確保についてですが、調査によれば、昨年の入学者が定員割れした私立大学は、半数を超える53.3%にあたる320校で、過去最多を更新しております。幸い私共の大学においては、学長はじめ関係教職員の皆様の多大な努力で、現在はそういう状況にはありませんが、今後は少子化の更なる進行に伴い、学生確保競争が激化することが予想されます。
 一方では、国の教育行政の方向として、AI・DXなどデジタル化への対応、問題発見・課題解決的な学習の充実など、一人ひとりが希望する教育を受けることができる環境の整備と社会のニーズに応える文理横断的知識・スキル等を有する人材の育成を進めており、これらは当法人の進める教育の方向と一致 するものがあると考えています。今年は、大学では、新棟建設を着実に進める節目の年でもありますので、これを契機により一層ブランド力の向上を図り、その発信機能の強化により、さらなる学生確保が実現できるよう期待いたします。
 こうした魅力と特色ある教育、選択と集中による効果的な教育の展開は、学生・生徒等を確保する上で、高校や専門学校、自動車学校でも共通する課題であると認識していますのでよろしくお願いいたします。
  次に、教職員の皆様へのお願いについてですが、私どもの法人が今後とも発展していく為には、絶えず緊張感と危機感をもって、社会の変化や世の中の動きに今まで以上に注意を払い、環境の変化に的確に対応できるよう変わっていかなければなりません。これからもいろんな困難が待ち受けていると思いますが、私は、これまで蓄えてきた力や知恵を結集すれば、必ず乗り越えていく事ができると信じています。どうか教職員の皆様におかれましては、自信と誇りを持って、これからも職務に精励していただきますよう、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
  なお、近年、他大学では学生の薬物使用が頻発し、社会的な問題となっているのはご承知のとおりであります。高等教育機関でのこうした事件の発生は、誠になげかわしい限りであります。私どもとしましても、大学はもとより、法人内すべての学校でこのような事件が発生することのないよう、全教職員が心して対応しなければならないものと考えています。
 また、会社や学校を問わず、様々な所でハラスメント事案が発生しております。本法人内では事件となるような事象は、今のところございませんが、ハラスメントに関する意見は職員アンケートでも散見されるところです。こうした事案の改善は、働きやすい職場づくりの基本と考えておりまして、法人あげての取り組みを行ってまいります。
  現在、第3次前期実施計画(R4~R6)をもとに、令和6年度の予算編成作業を行っていただいておりますし、特に今年は、令和7年度から9年度までの第3次後期実施計画の策定を行う必要があります。私はそうした計画を実現可能なものとするためにも、適切な学生・生徒数の確保に努め、これまで以上に安定的な経営基盤の確立に努めていかなければならないと思っているところです。
 そして、各学校におかれましては、学生・生徒を大切にし、教育内容の更なる質の向上と個性化、特色化を一層推進するとともに、本法人の建学の精神でもあります「人間味豊かな産業人の育成」を目指し、きめ細やかな人間教育を推進していただくようお願いいたします。
 これから、各学校におきましては、入学試験あるいは教習生獲得の本番となりますので、一年をかけて、目標を定め、募集活動を行ってきた結果が、数字となって現れる時期となります。どうか教職員の皆様には、目標達成に向けて、最後の追い込みに全力を尽くしていただくよう、お願いいたします。
  結びになりますが、いい仕事をするためには、何より健康が大切でありますので、健康管理には十分に留意していただきたいと願いますし、業務の遂行にあたっては 「真面目で誠実であること」はもちろんですが、それと同時に「明るく、楽しく、前向きに」また、いい意味での「遊び心」を持ちながら、進めていただければいいのではないかと思っています。
 この一年が皆様にとって幸多き年でありますこと、また法人全体にとっても実りのある一年であることを強く願いますと共に、経営陣一同、強固な経営基盤の確立に向けて、今後とも努力していくことをお誓い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
 学校法人久留米工業大学
理事長 萩原 重信
 


 

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